病気だなんて聞いてない・・・

釣り漫画の名作「釣りキチ三平」のスピンオフ「バーサス魚紳さん!」の連載が漫画誌イブニング(講談社)で始まり、話題になっている。「三平」本編に登場した凄腕釣り師・鮎川魚紳が実在の釣り師と釣りバトルを繰り広げる物語。がんを患い断筆宣言していた本編の作者、矢口高雄氏(78)は原作を手掛け、作画の立沢克美氏に釣り漫画の極意を伝える意気込みだ。
「バーサス魚紳さん!」で描かれる鮎川魚紳
立沢氏はこれまで週刊ヤングマガジンで「ポンチョ」、グランドジャンプPREMIUMで「ダウト」など野球漫画の連載経験があるが、釣り漫画は初めてだ。釣り経験もわずか。ただ「バガボンド」の背景は「三平」の劇中シーンを参考にして描いたこともあるそうで、尊敬する漫画家の1人だったようだ。
今回のオファーを聞いた際は「瞬時に描きたいと思いました。少年時代に三平が好きで読んでいた感覚を思い出しました」という。個人的には“無頼感のある初期の魚紳”が好きで「実在のアングラー(釣り師)と対決するので、ギラギラした魚紳さんにしたい」と意気込んでいる。
矢口氏に初めて会った際は、ネーム(コマ割りや吹き出し、ラフな絵を描いたコンテ)の第1案を手渡した。「読んだら連絡します」と受け取った矢口氏は、その日のうちに立沢氏に電話。立沢氏が「帰り道で電話を頂き、アイデアや提案を頂きました。嬉しくもあり、怖くもあり…でした」と苦笑いで振り返る。熱のこもった指導を受けたようだ、
矢口氏の絵を「なんと言っても線が好き。伸びやかで気持ちいい。三平くんのデッサンはテンションが効いていて、メチャクチャに見えるポーズもリアリティがある。自然描写も描き込みつつ、見やすい。カラー原稿は最高です。使っている画材を教えてもらいました」と絶賛。釣り漫画の第一人者から多くを学ぼうと燃えている。